KOEKBOYA 草木染についての詳細解説
KOEKBOYA
Natural Dyes and Textiles
Harald Bohemer 2002年/ 130$
ISBN975-17-2790-1
キリムのモチーフの研究がソフト面なら、こちらはハードな「染色」についての大研究。
副題にColor Journey from Turkey to India and Beyond.とありますが、
世界中の草木染についてこれ以上ないというほど、写真と細かな解説が載っています。
(化学式で解説されても困る?)
タイトルのKOEKBOYA(クックボヤ)はトルコ語で根から染めたもの(=草木染)の意味。
この本の出版者は、DOBAG(ドバッグ)というトルコとドイツが共同で行っている
「天然染料を研究し復活させるプロジェクト」なのです。
私たちがアンティークキリムと呼ぶ19世紀のキリムは、100%天然染料が使われていますが、
20世紀に入ってからの合成染料の登場で、天然染料で染める技術の多くは、忘れ去られてしまった…
その技術を取り戻すべく、インドから東南アジア、果ては南米まで、
現在も残っている草木染の技法を追いかけた研究の成果です。
ドバッグプロジェクトの最終目標は、トルコの伝統的なデザインを草木染で織った
カーペットやキリムを国際市場に出すこと、そして村の女性たちの国際的社会的を向上すること、
とされています。
この本は、はっきりいって退屈です。アカデミックすぎます!
でも、キリムということを超えて、染色の研究をされている方には、ものすごく貴重な資料に
なることは間違いありません。本当に詳しい!(コチニールとか貝紫とか少々記述アリ)
私にとっては、現在とこれからの、トルコの絨毯やキリムというひとつの産業が
どうなっていくのだろうというところで、興味深い一冊でした。
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