このキリムのライオンは、イラン革命前の国旗に使われていたデザインで、ライオンが片手にサーベルを持ち、背中からは太陽が昇っていく様子が描かれたものです。
表面は刺繍のように見えますが、これは後から刺したものではなく、キリムを織るときに、縦糸と横糸のほかにもう一本飾り糸を前後しながら絡めて織ってゆくスマックという技法です。もちろん、通常のキリムよりも織る手間がかかりますから、それだけ高価なものということになりますが、実物をごらんになれば、お値段以上に価値あるものと満足していただけることと思います。

【スマック織り】平織りのキリムの中では最も手の込んだ複雑な織りとされるスマックは、コーカサス地方のシューマッハに起源を持つと言われています。経糸と横糸のほかに、もう一本の飾り糸を絡めながら織り進め、表面は細かな刺繍のように見えることから高級感があり、工芸品としても見ごたえがあります。スリット（縦に開いた隙間）のあるスリット織りとは異なり、織り地はがっちりと引き締まっています。

縁取りのじゅうたん織りの部分は黒に近い濃紺の糸で織られています。
がっしりと目のつまった織り地。全体の厚みは6-7mm前後で、平織りのキリムとしては厚みがあります。全体のカタチにわずかにゆがみがあります。